診療看護師(NP)の利点

普段、診療看護師(NP)に対して、あまり良くない意見ばかりを書いていますが、たまには利点も書いてみようと思います。

 

そもそも、普段欠点ばかりつい書いてしまうのは、私の周りの診療看護師(NP)の出来があまりにも悪く、自分自身もその出来の悪い診療看護師(NP)に対し、つい反応してしまうからなのだと思います。

 

反応しない練習という本がありますが、とても良い本です。

この本を何度も読んで、成熟出来るよう頑張りたいものです。

 

ということで利点ですが、まず医師の代替としての役割だと思います。

特に外科系では、手術する事に全てを注いでいるといっても過言ではありませんので、手術に集中すべき事は当然です。

そもそも、外科医の利点は内科医には出来ない、人の躰にメスを入れるという特殊な能力を持っている事です。

これは、トレーニングを受けていない内科医には出来ません。

その代わり、周術期の管理などは内科医のほうが得意です。

 

この辺の、だれが管理するか問題には諸説あります。

特に集中治療室に入室する患者さんの管理を誰が行うのかということで、集中治療医が行うのか、外科医が行うのかで比較した研究は沢山あります。

一部の研究を除いて、集中治療医の利点が示されがちな研究結果となっています。

そもそも、内科医と集中治療医を同一に扱ってよいのかは少し疑問ですが、極端な話、手に腕を持たない内科医は、頭の中には膨大な過去の論文が入っており、思い出せない場合の引き出しも、外科医の比ではありません。

でなければ、内科医はいらないということになります。

 

そんな外科系の手術中の入院患者さんの補助的な管理を行うのに、診療看護師(NP)が適任であると言えます。

そもそも、診療看護師(NP)は看護師経験がありますので、ナースがどのような事で困っているのかを知っています。

比較的多いのが、どうでも良い薬の処方があります。

 

これらの、いわゆる事後処方薬については、事前に医師が指示を出し、その指示に基づき投与された薬剤になります。

もう使ってしまった薬剤ですので、本来であれば医師はその使用したという事実を認識し、処方という行為は、誰かが行えばよいのです。

しかし、処方権は医師にかありませんので、医師が行わなければならないわけです。

 

近年医療クラークをはじめ、医師の業務を代替する職業が台頭してきました。

その1つの職業として、(職業と言って良いのかわかりませんが)診療看護師(NP)です。

先に書いたように、特に事後処方と言われる、すでに使用された薬剤に関しては、これらの代行者で本来まかなえるはずです。

このような簡単な事で、看護師は残業を強いられて、ストレスを抱えています。

施設によっては、薬剤師の方が行っていたりします。

 

ある病院で診療看護師(NP)を立ち上げられた診療看護師の方は、薬剤師が処方するのはよくないと言っていました。

なんで、自分以外の他者をそこまで否定するのかは知りませんが、薬剤師は本来その様な業務を担うべきです。

 

このように、医療をもう少し俯瞰的鳥瞰的にみることで、見えてくる景色があります。つまり、適材適所でそれぞれの役割を担えばよいだけなのです。

 

例えば、臨床工学技師であれば、得意な分野にもよりますが、人工呼吸や人工心肺の設定変更を行ったりするのは、患者さんの為になります。

 

薬剤師の方も、先に述べた理由より、代行での処方等はどんどん行うべきです。

だって、疑義照会を行うくらいの知識があるのですから、医師が処方するより科学的根拠を踏まえた適切さはさておき、余程間違いの少ない処方になるはずです。

 

栄養士も同様に、患者さんの状態に合わせた食事の提供と、食事のオーダーを行うべきです。

食事は治療ともいえますが、薬剤などと異なり副作用は限りなく少ないはずです。

 

放射線技師も同様に、例えば胃チューブ留置後に腹部レントゲンのオーダーしかなく、コメントにチューブ位置確認目的、と記載されているのであれば、本来であれば気を利かせてチューブが途中でたわんでいないか、気管に沿って留置されていないかを自ら確認すべきです。

しかし、現行の法制度上は医師の指示が全てですので、このような画像の結果撮り直しということにもなります。

 

他にも沢山のメディカルスタッフが存在しますが、担当医師と情報共有を行ったうえで、代行での各種入力を行うのであれば何ら問題はなく、利点のほうが大きいような気がします。

もちろん、間違いが起きる可能性もありますが、間違いよりも利点のほうが大きいと思います。

 

となると、診療看護師(NP)は何を担うべきなのでしょうか。

これからは、国策で病院の集約化がおきると、医師の集約化となり、医師も余る時代に突入すると思われます。

さらに、AIの台頭で診断や治療方針の道筋も取って代わられます。

人間に出来ることは、AIを上手に利用することです。

 

例えば、わたしの自宅のロボット掃除機は、人の眼にみて汚れているところを飛ばして、同じところばかりを掃除しています。

実は、現在の医療はこのロボット掃除機と同じような事を行い、医療の効率化には寄与していない可能性があります。

そして、ロボット掃除機がかしこくなれば、ゴミを認識し掃除するようになります。

医療現場にも、賢いロボット掃除機のような機器はこれからどんどん入ってきます。

ロボット掃除機の例えでは、現在では効率よくゴミ掃除を行うことに診療看護師(NP)を利用するというものです。

つまり、不足している医療の穴や隙間を埋めるのが、診療看護師(NP)の現代の在り方であると思います。

 

そして、診療看護師(NP)も賢い人材となる必要があります。

これは、医療全体を鳥瞰的視座で見ることと、先を見据えた先見性に裏付けられた実践であると思います。

 

医療はまだ、非営利団体ですが、これからは競争戦略と利益の追求が必要な時代になります。

医療費は、40兆円を軽く超えていますので、日本もお金がありません。

税金ばかりを搾取するわけにもいきません。

そうなると、受診者の減少にも繋がります。

病院は、ますます収益減少となります。

 

これから先、国策として必ずそのような時代はやってきます。

そのときに、診療看護師(NP)の方々がどの様な働き方をするのか、は自分次第です。

 

その成果を、個人として、さらに飛躍した団体として提示する事で、医療現場における国家資格として新規に認められる日がやってくる可能性があります。

 

未来は突然やってはきません。

現在の積み重ねにより、未来はつくられます。

ぜひ、健全な医療の提供を担う一員として、診療看護師(NP)の方々が活躍できる日が来ることを祈念しております。