ボーナス支給における組織の在り方

真偽の程は定かではありませんが、東京女子医科大学病院のボーナス支給額が0円だそうです。

その結果、看護師400名以上が退職の方針となっているそうです。

 

公式の労働組合のホームページに書いてあるので、本当なのでしょう。

https://www.joidairouso.com/

 

看護師400名以上が退職との事ですが、わたしが当事者であっても同じく退職の方針を選択すると思います。

そもそも、ほんとに良い職場であれば、仮にボーナス支給が0円であったとしても、次のボーナス支給に向けてなんとか頑張ろうと思うはずです。

けれども、多くの方が退職を選択したということは、元々がギリギリの状態で勤務を続けてきた結果、なんとかつなぎとめていた糸がキレてしまったのだと思います。

 

看護師にとっては、病院を代わることはよくあることですが、正直病院を変わったからと言って、どこの組織も同じだと思います。

どこの組織も同じであれば、せめてボーナスくらい、まっとうに支給してくれる組織で働きたいものだと思います。

 

看護師は病院における最大のマジョリティです。

そして、病院で勤務する方の多くは、国家資格ホルダーの専門職集団です。

 

そして看護師は、現時点ではまだ多くの就職先があります。

しかし、他の採用人数が少ない職種に関しては、知識や技術を持っていたとしても、組織を代わることで、給与や地位の面では大きなディスアドバンテージになります。

そのため、看護師ほど気楽に退職の道を選択する事は困難であるように思います。

 

今後どうなるのかはわかりませんが、実際に看護師400人が退職した場合どうなるのでしょうか。

まず、退職金を400人分支給しなければなりません。

そうなると、多分ボーナス支給したほうが総合的には良い判断かもしれません。

 

関連病院も含めて400名だとしても、看護師がすくなくなれば選択する道は2つしかありません。

1つは、患者の受け入れを制限する。

1つは、看護師がそれぞれ、倍働く

 

どちらにしても、賢い選択とは言えません。

 

患者の受け入れを制限すれば、大学病院という医師への教育や研究面でも、大きく後退することになります。

仮に、看護師が倍働いたとしても、医療事故を量産するだけだと思います。

 

医療事故が及ぼす影響は大きく、1件大きな事故が起きれば、関係各所で何度も会議や打ち合わせ等を行う必要もありますので、時間的な浪費も増大します。

 

個人的には、この様な前例を作ってくれた大学病院の在り方は非常に興味深いです。

組織経営にとって最も大切な事は、組織の存続です。

 

組織の存続が危ぶまれるほどの決断をした結果、どのように組織を立ち直していくのかは、興味深いところであります。

 

組織経営者は、過去の医療事故やCOVID-19などを棚に上げて、マスコミの悲嘆を煽ろうと考えているのかもしれません。

たしかに、COVID-19は多くの事業を廃業に追い込み、病院においても大幅な減収をしいられました。

つまり、どの病院も同じ条件であるということです。

COVID-19の流行は組織経営においても、考えさせられました。

強い組織は、苦境の際にも柔軟に対応し利益をあげ続けるということです。

 

組織の存続に必要なのは、人材ではなく人財です。

人財を採用するに当たり、責任の対価が給与です。

つまり、ボーナス0円は、何の責任も果たしていないということと同義です。

もちろん、ボーナス支給は組織の気持ちですので、必ずしも支給する必要はありません。

けれども、強い組織であるためには、責任の対価としての給与は支払うべきであると思います。

 

責任の対価がボーナス含む給与であるならば、経営者は組織が破綻しない程度で

、どんな手をつかってでも給与を支払うべきだと思います。

もちろん、回収の見込みもないまま、高金利からの借金で給与を支払うようであれば、組織の存続は絶望的です。

例えば、高額支払い者の給与である、理事長などの職種のボーナスカットであればよいのですが、メディカルスタッフ全員となると話がかなりややこしくなります。

 

医師はそもそも大学から支払われる給与は安いので、それほど痛手で無い方もいらっしゃるでしょうが、看護師はアルバイトも困難(というか体力的にきつい)ですので、自分が所属する組織からの給与だけで生活している人のほうが多いと思います。

 

そもそも、看護師には副業で稼ぐなどの金融リテラシーが不足しているのも問題ではあるのかもしれません。

けれども、本業は本業です。

本業のことは最も詳しく知っていますし、最も給与も支払われるべきです。

 

これを前例として、他の病院もあとに続くのかは見ものです。

やはり、病院経営は経営の専門家が介入すべきであると思います。

病院には、金銭的に介入可能なムダが沢山落ちています。

COVID-19は、多くの弊害を与えましたが、リモートワークなど、新たな可能性も提示しました。

これからの時代、看護師が生き残っていくためには、まっとうな組織に所属する、そのリテラシーと金融のリテラシーは必要になってくるのだと思います。