診療看護師(NP)の新入職の方へ

結論

  • 医者のような仕事ができると思うな
  • そもそも,あなたには医行為を行える法的後ろ盾はない
  • 研修医は敵ではなく味方である
  • 指導医を馬鹿にするのではなく,自分で何ができるかを考える

 

 

なんでわたしがこの様な記事を書こうと思ったのかというと,新人診療看護師(NP)からの「文句」が気になったからです.

「わたしはこんな事がやりたくて診療看護師になったのではない」

そんな事言われても,それはあなたの感想に過ぎません.

そもそも,あなたは医者ではありません.

医者の真似事がしたいのであれば,医者になればよいのです.

けれども,文句をいう診療看護師に限って「医者じゃなくて診療看護師だからこそできることがあるんです」といいます.

 

それはどういうことかというと,研修医に文句を言うことであったり,指導医の教育体制に対して文句を言ったりすることです.

 

色んな本に書いてあるのですが,他人を変えることは無理です.

これが前提です.

ただし,自分が変わることで他人を変えることはできるかもしれません.

 

これを,コヴィー先生はインサイドアウトとアウトサイドインと表現しています.

インサイドアウトは,自分が変わることで他者に影響を与えることです.

アウトサイドインは外側,つまり他者に向かって行動を変えようとする行為のことです.

 

指導医に文句を言っている診療看護師は,アウトサイドインです.

つまり,今後何も成長できません.

年月とともに,スキルや知識は向上するかもしれませんが,本質としての在り方は何も変わりません.

 

指導医のスタイル多種多様です.

診療看護師の場合は,指導医により指導が行われます.

そこで,指導医からの指導体制が甘いと文句をいいます.

 

けれどもよく考えてみてください.

ほんとに,良い指導医がいないと自分は成長できないのですか?

それは,自分次第なのではないですか?

 

自分の身の回りにには,Up to dateをはじめとした,最新のテキストが身近にあるはずです.

それらのテキストを駆使して,自分で色々と考えることはできるはずです.

 

わたしの以前のボスは,研修先が希望の病院ではありませんでしたが,そこで腐らずにマニュアル作成や,外部の高名な先生と連絡をとり現在では大成されています.

 

この以前のボスの立ち振舞を考えると,研修先ではなく自分次第だ,と思うようになりました.

たしかに有名病院での研修を終えた医師は,ある程度できます.

けれども,自分自身で切り開いた道には到底叶いません.

 

診療看護師も同じです.

 

そもそも,診療看護師として仕事ができる時点でありがたいと思うべきです.

仕事がないのではなく,仕事は見つけるものです.

そして,医療には必ず隙間があります.

その隙間にコミットすべく,診療看護師が役に立つことは沢山あります.

 

まだまだ,診療看護師として仕事をしている人は少ないと思います.

そもそも,法的に養護された資格でもありません.

そのため,病院単位での活動にはなります.

 

ただ,昔の人達はすこしづつ自分の手で切り開いて今の地位を確立しています.

老害的な発言ですが,とても甘いです.

近年のZ世代やY世代には,その様な言い方はしたくありません.

 

ただ,診療看護師の場合は繰り返すように,資格は看護師です.

指導医に文句を言う前に,内省すべき事は沢山あるはずです.

 

そして,これから働くにあたって.

 

準備はなるべく自分でしましょう.

ナースに準備を任せて,あれが足りないだのこれが足りないだの,言うのは簡単です.

あなたは,そんなに偉くなったのですか?

 

ナースに指示を出したら,それで確実にやってもらえるとは思わないでください.

ナースは,病院中で最も多忙です.

その多忙さを分かるのが診療看護師ではないでしょうか.

ナースの負担となるような指示は必ず毎日見直しましょう.

不必要な体重測定や尿量測定などは,アセスメントしナースが働きやすい環境を提供してください.

 

そして,指示を出すだけではなく,自分自身で採血などに参加してください.

例えば,熱が出た場合はワークアップとして,血液・尿・痰の培養と胸部X線撮影を通常行うと思います.

その際に,採血の手伝いなど時間があれば積極的に手伝うようにしてください.

繰り返しますが,ナースは多忙です.

そして,コンタミ防止のためにも,特に血液培養の採血をできる時はなるべく自分で行ってください.

 

点滴なども同じです.

日中に与えられた時間は約8時間です.

その8時間で,介入して評価をして夜勤に申し送りをする必要があります.

例えば,朝一番に自発呼吸トライアル(SBT)を行えば,午前中には抜管できます.

SBTが午後にずれ込めば,再挿管への対応も遅くなります.

抗菌薬なども,こちらが考える投与時間とは大きな乖離が生じる可能性があります.

自分で投与するくらいの気概が必要なのはいうまでもありません.

 

仕事は朝一に終わらせる.

ナースには迷惑をかけないような指示出しをしてください.

明日の点滴や採血が決まっている場合は,朝一で出してください.

仮に変更になる場合は,変更された箇所のオーダーを削除すればよいだけです.

もしこの方法がナースから評判が悪い場合は,方法を考える必要がありますが,ナースはとにかく指示が無いと困ります.

 

包括指示も毎日見直す

ADLがいつまでもベッド上だったりしていませんか?

指示は毎日出し直すものです.

ナースからバイタルや尿量測定をおろせませんか(回数を減らす)と言われたときは,あなたの負けであることが大半です.

もちろん必要だから行っているものかもしれません.

ただ,ナースの判断は大抵正しいです.

なんでかというと,患者さんに最も近いからです.

そもそも,尿量は2時間とか4時間おきに見る必要がどのくらいありますか?

きちんとアセスしていますか?

尿量が出ないと何が困るんですか?

ちゃんと考えてから指示を出してください.

 

他にも言いたいことは沢山あります.

まず入職して数日しか経過していないのに,文句が多すぎます.

文句を自分たちの中だけでの愚痴であればよいのですが,公式な文句としている事が問題です.

これは,日本の悪しき習慣をわたしが踏襲しているのかもしれません.

ただ,自分で選択した施設で数日働いて,何が分かるんですか?

あなたは,数日働いて指導医をジャッジする立場にあるんですか?

ちょっと,大丈夫ですか?と思いたくなる気持ちにもなります.

看護師資格で働いている現状をもっと"ちゃんと"理解されてください.