よく、タイトルの事は臨床現場では、言われることです
そもそも、「聞き手」か「読み手」なのか、で伝わり方は変わってくる、とドラッカーの著書には記載してありました
長い文章と短い文章では、一般的に短い文章の方が多忙な臨床現場では助かります
例えば、診療情報なども、経過を書くよりは端的に、プロブレム(診断名)を書いていた方が、伝わりやすい事が多いです
ただ、このあたりは、端的過ぎてもわからないし、経過を長々と書いても読む気がしなくなるので、難しい問題ではあります
個人的には、自分が読んで苦痛でない程度、例えば電子カルテの1画面に収まる程度が読もうと思う気になる文章だと思います
よくみていて思うことは、仕事のできる人は、プレゼンも上手です
上手というか、よくまとまっています
それも、短時間でプレゼンします
このあたりは、画像の読み方と同じで、「型」があると良いのかもしれません
放射線科医は、画像の読み方はそれぞれ異なるようですが、ルーチンな読み方が決まっていると聞きます
例えば、個人の例では、胸部X線を読む場合、肺野は最後に読むようにしています
と言った感じの、「型」がそれぞれあると思います
上手な人は、何が上手なのか、真似るのが一番だと思います
単純に、真似るだけよりも、分析して、冒頭から文体、まとめ等に分けると、より理解しやすいかもしれません
例えば、英語の文章の組み立て方は、IntoroーBodyーConclusionとされているようです
つまり、導入があって、その導入部分を補って、最後にまとめ、と言った感じです
医療現場では、電話でのコンサルテーションも多いです
自分が、先輩に画像を電話で伝えるには、どのように伝えるか、「電話先の先輩がイメージできるようにプレゼンしなさい」と、言われたことがあります
たとえば、胸部CTだと、「みぎ下葉にエアブロンコグラムを伴う浸潤影」とか、「粒状影」とか「結節影」とか、適切なキーワードを知る事も大切だと思います
粒状影と結節影と浸潤影だと、想起する疾患が異なります
実際に、電話先の先輩が、「確かにそうだね」と言われるようであれば、そのプレゼンは適切だったと言えるでしょう
けれども、「ぜんぜんちがう」といわれれば、その先輩が電話先で受けて想像した画像とは異なっていた、ということになるので、プレゼンテーションが伝わらなかった、ということになります
救命士の方は、人によりますが、短い時間で上手にプレゼンする方がいらっしゃいます
さらに、そのプレゼンに自分なりの推論を織り交ぜてくる方もいらっしゃるので、そういう場合は、救急車も比較的安心して受け入れることができるような気がします
まずは、1分以内のプレゼンを意識して行うと良いと思います
更にいうと、20秒のプレゼンも効果的だと思います
20秒だと、1文から2文程度になると思います
これが、イントロになります
イントロは、これからプレゼンを聞こう、と思わせる大切なものです
本で言うところの、タイトルに値すると思っています
本の多くは、タイトルで惹かれますので、冒頭は大事です
ある有名作家の方も、本の冒頭に心血を注いだと聞いたことがあります
次に医療系の場合だと、患者さんの背景情報を追加します
例えば、〇〇の既往歴のある、ADL〇〇、要介護〇〇、誰とどこに住んでいる、〇〇歳男/女 性などです
特に、高齢者の場合は、既往歴、歩けるのかどうか、介護度、独居か施設かなどの情報は最低限必要になります
初診時には、ルーチンで記載しているかもしれませんが、抜けていることもあると思います
背景情報の次は、患者さんの状態になります
身体所見、バイタル、画像や血液等の検査所見を、診断に寄与する情報のみをプレゼンします
例えば、肺炎の患者さんだと
身体所見は、みぎ肺背側で副雑音聴取、バイタルは頻呼吸と酸素飽和度低下、血液検査で白血球上昇、胸部X線ではみぎ下肺野に浸潤影など、これらの情報になります
最後に、診断名と入院の目的になります
みぎ下肺野肺炎の抗菌薬加療目的で入院、などです
これらを、ひとまとめにすると、だいたい1分以内でプレゼンできると思います
プレゼン能力は、時間が解決してくれるものとは限りません
同じことを繰り返しても、人が成長しないのと同様に、毎回のプレゼンには、「準備」をして挑む事で、日々成長していくのだと思います
まとめ
・20秒のプレゼンは、本のタイトルと同じ
・1分のプレゼンは、患者さんの背景情報と、診断に至った大まかな根拠を組み入れる
・最後に、何の目的で入院となったのか、で終わり