当院で行っている、ランダム化比較試験(RCT)の読み方について復習します。
RCTとは、現在最も質の高い研究手法とされています。
今後は、遺伝子治療等により、RCTよりも質の高い研究方法が出てくるかもしれませんが。。
RCTを、ざっくりと説明すると、同じような対象患者を集めて、その方々を”治療する群”と”治療しない群”に分けて、その結果を比較検討するようなやりかたです。
運が悪ければ、死亡率が高い方の治療を施される可能性もあり、研究を行うにあたり、倫理的審査が厳重に行われます。
まずは、論文の全体像を捉えるために、PICO/PECO(ピコ/ペコ)と呼ばれる作業を行います。
PICO/PECOはそれぞれの頭文字を示します。
PがPatientで患者
その研究では、どのような対象範囲としているか?ということです。
対象範囲の事を、ポピュレーション(Population)とも言います。
例えば、小児を対象とした研究結果を、成人患者へ応用する事は難しいということを示します(必ずしもそうとも言えないこともありますけど)。
RCTには、必ず対象患者と除外する患者が記載されています。
例えば、対象患者の年齢は70歳以上、と記載があれば、その結果を臨床的に応用する場合には、50歳の人には応用しづらい事になります。
また、除外基準も設定されており、併存疾患のある者、などという項目の記載があれば、多数の併存疾患を持つ高齢者には、結果を応用しづらくなります。
特に、現在の日本の現状では入院を必要とする多くの患者さんは、超高齢者と言われる方々ですので、そのような方々を対象とした研究自体少ないのが現状です。
たとえば、対象患者85歳以上という研究は、多分少ないと思います。
PICOのPをまとめると、対象患者と除外患者の把握ということになります。
次に、PICOの I(介入)です。
どのような治療がなされたか(すべてが治療となるわけではありません)ということです。
例えば、新しい薬剤の効果を試したい場合は、薬剤Aをどのくらい使用した、ということです。
PECOの場合は、介入がなく、暴露だけの場合は、PECO(ペコ)になります。
PICOのIのまとめは、どのような介入がなされたか?ということです。
次に、PICOのC(比較する群)です。
例えば、先の例ですと、新しく開発された薬剤を使用している場合は、対象群は古い既存の薬剤であったり、プラセボと言ってただの小麦粉のような薬剤を服用し、その効果を調べる、と言った感じになります。
PICOのCのまとめ、比較される群はどのような治療内容が行われているか?ということです。
最後にPICOのOです。
OはOutcome(結果)です。
通常、プライマリアウトカムといって、日本語ですと主要評価項目などと訳されます。
つまり、この研究を行うにあたって、最も知りたいのはこれなんです、ということです。
例えば、重症患者を対象とした研究では、死亡率などがプライマリアウトカムとなることがあります。
死亡率をアウトカムとした研究は、ハードアウトカムといって、質が高いとされますが(研究の内容にもよります)、通常それほどたくさんの対象患者が、死亡するわけではないので、多くの症例数が必要となりますので、研究自体多くのコストがかかり、お金と時間を必要とします。
PICOのOのまとめ、その研究を行うために設定されたアウトカム(最も知りたいもの)。
ナースが論文を読む姿を筆者はあまり見かけませんが(読んでいるナースの方ごめんなさい)、当院では、ナースも医師と同様に論文を読んで、その結果を臨床的に応用可能か検討しています。
今回のまとめ
論文を読む時は、まずはPICOを把握しましょう!