デカルトという、哲学者が提唱された格言のようです
ちなみに、ビル・ゲイツは「困難を切り分けろ」と言ったそうです(ネット情報)
医療を受ける患者さんが、高齢化するほど、複雑になってきます
Geriatrics medicine(老年医学)という学問があるということが、これらの問題の複雑さを物語っています
例えば、若者の骨折ですと、通常は骨折の治療を行うだけで良いことが殆どです
ところが、高齢者の骨折ですと、せん妄や肺炎や、鎮痛剤に伴う副作用や、既往歴やポリファーマシー(薬剤を服用していること)など、対応が多岐に渡ります
今までですと、循環器とか消化器とか、臓器別の治療を行えば、たいていは大きな問題なく経過していました
つまり、これら臓器別診療は「困難は分割せよ」の代表であると思ってます
心臓のなかでも、不整脈を専門に見る人にとっては、不整脈だけみれば、それで良いと個人的には思っています
それが、その人の専門だからです
一方、高齢者の不整脈治療を行う際には、先に述べたように、考えることが増えます
このような場合は、不整脈の専門科だけで対応するのは困難な場合が多いです
専門科は、専門への選択と集中を行うことで、選択された医療の質は向上すると思います
では、高齢者の不整脈をどのように診療するのか
総合診療を専門にもつ人が、その患者さんの全身管理を行う
総合診療の専門科でも治療可能な不整脈(内科的に治療可能)であれば、総合診療医が不整脈の治療を行う
ということになります
総合診療や集中治療や麻酔や救急などは、臓器別診療ではありません
通常、患者さんを診療する場合は、プロブレムリストといって、問題点をくまなく挙げます
なれないうちは、すべてのプロブレムを挙げ、かつそのプロブレムを分割して考えていきます
人の体は、相互に作用しているので、プロブレム同士で異なる治療方針を考えなければならないことも増えてきます
例えば、高齢者の骨折を例にあげます
痛み止めとして、比較的効果のある、痛み止めを使いたい
一方、痛み止めには腎臓や消化器などに与える、副作用がある
といったように、薬の適切な使い分けなどが必要になります
選択と集中をすることでみえる景色もあります
けれども、その人を全般的に捉えることで見える景色もあります
医療に、絶対はありません
くすりはリスクになります
そのリスクがあるなし、ではなく、どのくらいのリスクがあるのか
と考えることができるのが、総合診療などの専門科なのだと思います
タイトルに戻りますと
困ったときは、極力分割すること
例えば、血圧と一言で述べるのではなく
収縮期・拡張期・平均の3つの血圧があり
それぞれ、動脈血の出血・冠動脈血流・臓器灌流を規定
血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗により、規定される
心拍出量は、一回心拍出量と心拍数により規定される
といった感じ
最終的には、それら分割したものを統合して考えることになります