診療看護師と呼ばれる方々は、専門的な大学院を卒業しています。
基本的には、臨床があっての診療看護師なので、臨床実習等も多くの時間を割いています。
大学院によっては、「研究」を行わなくてよい大学院もあります。
「研究」をどの程度まで、研究として許容するのかにもよります。
例えば、症例発表を行うことが、研究であると言えばそうです。
世の中には、ケースレポートやピクチャーシリーズがあることで、自分が対峙している患者さんの病気は報告されているのか、知ることができます。
これはこれで、一つの大きな学問です。
科学的ということを、反復可能な事象と規定してみます。
そうすると、診断が合っていれば、ケースシリーズでも反復可能な事象となるため、科学的であるということになります。
ちなみに、ケースシリーズとは(一般的に珍しい)患者さんが、どのようなプレゼンテーションで病院に来て、どのように診断し、治療したかというものです。
けれども、根拠を明示するためには、もう少し一般化する必要性がでてきます。
つまり、ある程度の数が必要となります。
たとえば、”診療看護師がいる病院” と ”いない病院”で死亡率を検討すると、診療看護師がいる病院では統計学的に死亡率が少なかったです、という結果が出たとします。
死亡するということは、極めて稀な事象であるため、ハードアウトカムと呼ばれており、最も強い根拠の提示が可能です。
実は今現在も、多くの病院の診療看護師の方々が、死亡率を減らす事に貢献しいてるのかもしれません。
けれども、仮説に過ぎません。
科学的に反証可能な根拠として提示する事ができれば、診療看護師の法制化、診療報酬取得という事になります。
過去、認定看護師や専門看護師もそうですが、せっかくお金を出して、苦労して勉強して、ようやく資格を取得したのに、給与や勤務内容に直結しないといったコトは、多くの施設で問題とされています。
今後この問題を解決するには、自らが研究というものをある程度理解する必要性があります。
また、日本は特に遅れていますが、今後公衆衛生学修士等の人財の増加に伴い、各施設での臨床研究の質の向上に寄与してくれると思います。
要は、インセンティブを要求するからには、そのインセンティブの内容に耐えうるだけの成果を提示してからにして下さい、という事です。
単に、大学院や専門的な資格を取得しただけで、給与に反映しないのは当然だと思います。
現在は、医師はその能力の如何に関わらず、比較的高額な報酬を得ていますが、今後は能力も評価されるようになってくるのではないでしょうか。
看護師と診療看護師と認定看護師と専門看護師(他にもありますが)では、大学院2年間を費やす、診療看護師と専門看護師は、2年間大学院に休職したことを考慮すると、少なくとも給与面での報酬は看護師の方がよいです。
ただ、施設により評価の度合いは異なります。
たとえば、国立病院機構であれば、診療看護師には月々6万円の手当が付きます。
これは、年間にして72万円ですので、10年で720万と考えるとそう悪くはないと思わせる金額だと思います。
結局、組織人である以上、行き着くのは管理者の評価能力という事につきます。
まとめ
・組織に対して、金銭的インセンティブを要求するのであれば、自分の成果を分かりやすく提示しましょう
・日本版NPの法制化や、診療看護師の診療報酬の取得のためには、それらの根拠を提示しましょう