診断とは、適切な治療のために行うものです
けれども、診断は一つに絞りきれずに治療を行うことが多いです
リスクヘッジをとる、ということです
診断を一つに絞ってしまうと何が起きるかというと、
良くないことがたくさん起きます
例えば、診断が間違っていた場合の、対応
経過により、他の診断の可能性が台頭してきた場合の対応、などです
そもそも、診断と治療はパラレルに動いています
治療がうまくいくということは、診断が正しいということに近いと思います
けれども、先に述べたように、診断は一つに絞りきれないことが多いです
だからこそ、診断に重み付けを行います
確定的診断、最も可能性のある診断、可能性は低いけど捨てきれていない診断、ほとんど可能性は無いけど絶対に外してはいけない診断などなど
診断を適切に付けることでの利点は、他職種で共有できることだと思います
たとえば、「この患者さん、誤嚥性肺炎で入院になります」
という一言があれば、比較的高齢者で、食事形態はどうするか、退院先はどうするか、リハビリはどのように進めるか、元々のADLはどの程度か、抗菌薬が必要か、絶食による管理は行うのか、口腔ケアや歯科へのコンサルトは必要か、など
診断名が付くだけで、その背景にはやらなければならないタスクが、医療者の中で共有されます
最も、典型的なプレゼンテーションでくる患者さんであれば、慣れている看護師さんでも診断は、割りと当たっています
けれども、看護師さんは、診断の為の訓練を受けていないので、他の診断の可能性がどのくらいあるのか?
などという、リスクヘッジはできない場合が多いと思います
最近診療看護師の方々が、活躍されている施設も増えてきています
彼・彼女らは、診断の訓練もなされています
看護師の方々も、診断のプロセスを学ぶことで、身体所見や問診のとりかたが、さらに向上すると思っています
難しい診断は、診断のザルを広げなければ拾い上げることは困難ですが、コモンな疾患であれば、ある程度の診断は看護師さんでも可能かもしれないと思っています
例えば、肺炎と風邪の違いであれば、両極端の(明らかな)肺炎と風邪はある程度診断できます
けれども、肺炎か風邪かよくわからない場合が、診断を難しくさせます
たとえば、風邪症状2日目できた患者さんと、風邪症状できた4日目の患者さんでは、後者に違和感を持ちます
普通の風邪で、4日間の発熱等の症状経過はながいな、と
そうなると、肺炎の可能性が高まってきます
そこで、肺炎らしさのある問診や身体診察を行い、必要時画像検査で診断を行うことになります
このくらいであれば、診療看護師や看護師さんでも、ある程度診断は可能かもしれません
ずっとやってみたいことなのですが、救急外来の看護師さんの初見での診断特性の感度や特異度はどの程度なのか、少し気になっています
診断は医者だけのもの、という前提を捨て、みんなで協力して患者さんを取り巻くことが必要だと思います
そうすることで、看護師の自律・自立へ繋がるものだと思います
診断は看護師にとって、とても大事なことだとおもいます
繰り返しますが、診断は間違っていてもよいですが、その患者さんに対する対応は間違えてはいけないということです
ある程度、診断の可能性を幾つかあげることで、立案した診断全てに対して、時間経過でその診断の整合性をみることになります
時間が診断の手助けをしてくれるということです
ある格言ですが、感染症は良くなるか悪くなるかのどちらしか無い、よくも悪くもならないときは感染症以外の事も考慮すべきというものです
あくまでも、看護師が医学的に診断を行い、その結果を臨床に適用することは違法です
けれども、いい事もそれなりにあると思います