掌をかざして、看ることで、患者さんへ看護を提供すること?
多分それは、看護を提供するうえで、最終段階に近いとおもいます。
そもそも、臨床の看護師は、時間に追われています。
時間に追われていない看護師は、組織として時間管理ができているか、相当適当に患者さんへ対峙しているか、どちらかだと思います。
筆者の考えは、「時間管理」だと思います。
ここでの時間管理は、看護師個々人によるものではなく、チームとして取り組む時間管理のことです。
筆者はよく、ベイズの定理を例えに使用します。
たとえば、臨床の看護師は〇〇の抜けが多いので、チェックリストを作りましょうといいます。
次に、前回の〇〇とは異なる抜けが多いので、異なるチェックリストを作りましょうとなります。
これでは、チェックリストに使われているだけです。
チェックリストは、適切に用いることで、最高のパフォーマンスを発揮します。
なんでもそうですが、使う人により使われるものは、最高にも最低にもなります。
先にあげた例えでは、ミスが多いのであれば、そのシステムを見直すことの重要性が問われます。
ベイズの定理では、通常サイコロは1から6までの数字を同じ確立で賽を振れば出すはずです。
しかし、これは頻度論者のいいぶんであり、この理論には主観が入っていません。
ベイズの定理では、同じ数が続けて出た場合には、サイコロを疑うというものです(ごく一部の例えです)。
これを看護に置き換えると、同じミスが起きるのであれば、その問題は患者さんではなく、その中に問題があるということになります。
看護師は、主観には気づいているのかもしれませんが、主観 ☓ 客観といったあわせ技が苦手なのかもしれません。
このように、中の問題に着手するには、時間的余裕が必要です。
時間的余裕があれば、患者さんにたいして、カンファレンスもできます。
時間的余裕があれば、多忙によるミスも減ります。
時間的余裕があれば、院内感染も減ります。
時間的余裕があれば、早く帰ることができます。
時間的余裕があれば、より充実した教育にその時間を充てることもできます。
もちろん、病棟会などの会議に充てることもできます。
看護にとって、教育は最も重要視されています。
on the job training(仕事をしながら教える)とはいえ、時間がないとできません。
看護師はもっと、時間に敏感になるべきです。
私に与えられた時間は決まっています。
その時間内に、最高のパフォーマンスを発揮するのが、看護師であるべきだと思います。
筆者が既知の病院では、申し送りの時間がそもそも時間外に設定されているという病院もあります。
病棟会は全員参加、かつ時間外に行い、夜勤明けで自宅が遠い人は病院で寝る場所を提供するので参加という病院も存在します。
こんなの、ハラスメントでしか無いと思います。
時間は貴重なものであり、お金で買える時間とそうでない時間が存在します。
元カルビーのCEOである、松本晃氏が常々言っていたことですが、「結果を出すことより残業をしている方が稼げるのはおかしい」という事です。
時間外がなければ、給与が減るので時間外勤務を行っているという人も多数存在します。
管理者は早く気づいて下さい。
時間外で支払わなければならない金銭は、管理者が出しているわけではありません。
管理者は、勘違いしないでください。
ベースの給与を上げつつ、時間内に仕事を終えるほうが、よっぽどリーズナブルだと思います。
ところが、そんな病院はなかなか無いのが現状です。
最も先進的である大学病院が、このような看護を提供していたらどうでしょうか?
改めて、筆者は看護師にとって最も大切なのは時間管理だと思います。
ヒエラルヒーを描くとすれば、時間管理は最も底辺にくるべきものだと思います。
これからの時代は、看護の基盤にもっと時間を割くべきだと思います。