診療看護師の給与について

一般的に看護師の給与は、比較的高いと言われています。

けれども、夜勤がありますので、夜勤をしなければそれほど一般の職種の方と変わりないと思います。

また、一般の職種の方と比較して、給与が上がりづらいのも現状です。

 

看護師が看護師として生きていく上で、その人の存在価値を認める対価が、給与だと思います。

この問題は、認定看護師等が創設された当初から議論されている問題です。

結局、その資格に対しての給与を与えるのは困難であるため、副師長や師長としてステップアップしていくことでしか、一般的な病院はインセンティブを供与できていないのが現状だと思います。

 

認定看護師であれば、半年程度で臨床に戻ることはできます。

しかし、専門看護師等の大学院は修士課程で一般的に2年の歳月を要します。

また、大学院の授業料も支払いながら、家計をやりくりしていくことが必要となります。

 

その結果、専門看護師等の資格を取得して、臨床に戻ってきたとしても、何の金銭的評価をされない病院はまだ多いと思います。

筆者の病院も、そうですが資格を取得した所で金銭的メリットは何もありません。

 

これは、看護師のキャリアパスを考える上で大きな問題であると思っています。

すなわち、賢い看護師は大学院等へ進学せずに、大学院を卒業したものと同等以上の給与を貰えるわけです。

 

また、最近話題の特定看護師もそうです。

臨床を行いながら、放送大学等を利用し、必要な単位数を取得しなければなりません。

正直、大変なので多くの看護師は、特定行為のできる看護師になろうとは思わないでしょう。

特定行為のできる看護師になったとしても、給与が増えるわけではなく、臨床現場での便利屋さんになる可能性が多いと思います。

 

日本全国でこのような病院は多いですが、先見性のある病院では、これらの専門資格を持つものに、給与としてのインセンティブを与えている施設も存在します。

 

給与は責任の対価であると思っています。

 

日本の多くの病院でも、看護師のキャリアパスと、金銭的評価を行ってくれる施設が増える事を願います。

 

先進的な病院は、政策を誘導していると思います。

普通の病院は、政策に誘導されていると思います。

 

これは、大きな違いです。

 

過去、看護師:患者の比率を、1:7にすることで、診療報酬を手厚くしました。

その結果、地方から看護師が減少し幾つかの病院は、病床数の減少等を余儀なくされました。

 

看護師の受け持ち患者に対する比率が、減る程に患者さんのクオリティは向上するという事は多くの研究で指示されています。

医療安全上も、感染対策上も同様です。

けれども、経営陣がお金を注ぐのは、そこではない病院がほとんどです。

 

話をタイトルに戻します。

診療看護師は、米国ではナースプラクティショナー(NP)と言われています。

米国のNPは、診療報酬が医師と比較して8割程度と、クリアカットに決められています。

米国でNPが成り立つのは、保健システムの問題もありますが、最たるものはNPの診療報酬が認められていることだと思います。

 

日本のNPはレジデント以上の業務を行っている方もいると思います。

けれども、その給与は15年目であっても、3年目の医師がもらう給与の半額以下であるのが現状です。

 

先にも述べたとおり、看護師のキャリアパスと給与は今後の大きな課題です。

特定行為の様に、看護師の責任が増えるに従い、政策誘導されることを願います。

 

まとめ

・診療看護師は、大学院を卒業し、レジデントと概ね変わらない業務を行っているとしても、給与は半額以下、かつ一般の看護師と同等の給与

・今後この体制を、見直すには看護界全体で看護師のキャリアパスを考えることが必要

・診療報酬という形で政策誘導すれば、賢くない病院の多くは多額の給与を支払ってでも、資格を持つ看護師を希求すると思われる