現在国策として、働き方改革がクローズアップされています。
当然ですが、医師が現在の働き方を制限すると、診療の自粛や医師以外への業務のシフトが必要になってきます。
医師以外への業務委譲として、「タスクシフティング」という言葉を最近筆者の周りでも良く聞きます。
個人的な意見ですが、医師の書いた処方箋はよく間違えている(人によると思います)こともあるのですが、あまりにも単純なミスにおいても、薬剤師の方は医師へ確認が必要となります。
明らかなミスであれば、薬剤師の方が修正すれば、数秒で済む事を、いちいち多忙な医師に確認を行わなければならないのが、現行の法制度下における医療システムなのだと思います。
看護師や検査技師や栄養士やリハビリ科スタッフや放射線技師やソーシャルワーカーなど、医療に関連する職種の方であれば、あきらかな医師側のミスが予測されても、確認を行うことが必要になります。
あくまでも印象ですが、全ての指示を考えに考え抜いた結果の指示である場合や、根拠に基づく適切な指示である場合があります。
一方、あまり考えずに出される指示もあるのだと思います。
全ての指示を完璧に行うことは、人である以上不可能に近いと思っています。
だから、メディカルスタッフの力を借りて、医療を成立させることが必要になります。
そこで、最近新たな資格として特定行為の可能な看護師が増えてきています。
資格と言っても、国家資格ではありませんが、国の制度により規定された医行為を、医師の事前指示があれば、看護師独自の判断で行うことが可能となっています。
ところが、この制度を勘違いしている診療看護師と呼ばれる方たちがいるのも事実です。
診療看護師とは、専門の大学院を卒業したものであり、国が指定した特定行為全てを実施可能な看護師のことを、関連する団体がそのように呼んでいます。
たとえば、看護師が動脈血から採血を行うことは過去違法でしたが、この制度が施行されてからは、合法ということになります。
当然、手順書に準拠して行われるべきものであります。
ところが、動脈血から採血可能な特殊な看護師であると勘違いしている一部の人たちがいるのも事実だと思っています。
動脈血から採血が必要ないのに、採血を行う。
動脈血から採血を行う必要性がないのに、20Gの静脈留置針で橈骨動脈から穿刺を行う。
動脈から採血を行い、止血不十分で皮下血腫・仮性動脈瘤をつくる。
血液培養を、何も考えずに大腿動脈から穿刺を行う。
大腿動脈から採取した血液培養の結果が、毎回コンタミ(汚染)であるにもかかわらず、毎回同じことを繰り返している。
架空の症例ですが、このような診療看護師がいたらどうでしょうか?
アドバンスな看護師であると名乗るからには、まずその手技の適応を吟味するところから始めるべきだと思います。
また、その結果を詳細に分析するべきだと思います。
診療看護師が行った行為については、内省すべきだと思います。
施行後の評価も行わずに、楽だから・特別な看護師だから、といった安易な理由しかないなかで、動脈血から採血を行うのは賢い選択とはいえないでしょう。
今回は、動脈血採血を例に挙げましたが、他の事柄でも同様です。
診療看護師の方々はもう少し、頭を鍛えるべきだと思います。
自分たちは、先駆者だと言っていますが、もう少し賢くなってくれることに期待します。
多分、悪い例に上がる診療看護師の方は、自らを上位に置き、一般の看護師を下位に置き、自らの優位性をアピールしたがります。
診療看護師の方々は、きちんと数値で客観的批判に耐えうる根拠の創出をおこなうべきだと思います。
他の領域の看護師からは、論文もまともに読めない、研究もまともにできない大学院卒の看護師だと思われていないでしょうか?
まとめると、一部の診療看護師には、謙虚さがもっぱら足りないということです。